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「アイテム」企画特集 連動企画





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得意な子どもたちがさらに意欲を持つように(福島県伊達市立 伊達小学校)

日本教育新聞「企画特集」(2017年1月19日掲載)との本機構での連動取材第一弾として、福島県の伊達市立伊達小学校(学校長 佐々木義通)でのitem活用事例をお届けします。同校は、2012年にitemを全校で導入、その後、3年間の空白を経て、2016年度にあらためてitemを全校導入されました。2012年度導入時と、今回の導入おいてのitemに対しての先生方の想いは如何なるものか。そのあたりを中心に、佐々木校長先生と1年担任の菅野先生にお話をいただきました。

日本教育新聞「企画特集・学力アップを実現する算数指導のあり方とは」と併せてご覧ください。
  *日本教育新聞「企画特集」2017年1月16日PDF



■中上位層の学力も引き上げる
 

こちらの学校では、以前にも全校でアイテムを採択され、1度、アイテムを使わなくなって、今年度また採択されたとお聞きしました。校内で何か課題があって再度導入されたのですか。

菅野景子教諭: 3年間のブランクがありました。結局、私たち現場の教師というのは、学力のおぼつかない子どもたちをどうやって引き上げようかっていうことに意識が向きますが、中上位層の子どもたちをもっと伸ばしていかないといけないんじゃないかってことで、昨年度話し合いました。活用力を付けるっていう意味では、今まで学年ごとに採用してきたドリルは、真ん中ぐらいの子に合わせてつくられているので、中上位層の子にとっては物足りなくて、子どもたちの活用力を培う問題としては不十分と感じていました。中上位層の子どもたちも伸ばしていくためにも、活用力が問われるような問題を多く掲載しているアイテムをやってみようということになりました。
私自身、アイテムはこの学校で初めて知りました。以前、ここで使っていたときにやりきれなくて終わってしまった学年もあったと聞いています。学年が上に行けば行くほどその傾向はあったと聞いていたので、学校統一の教材として全部やりきれなくてもいいというスタンスで臨み、子どもの学習状況や段階に応じて使っていこうということで進めています。

子どもたちの学習状況や段階に応じて使うという方針は先生方で共通認識ということでしょうか。

菅野: そうですね。だから保護者にもあらかじめそのように伝えました。今までの教材とは違い全部をやり切る問題集ではありません、と。これを学校と家庭での共通理解としています。
実際、今年、私も1年生で初めて使ってみて、始めの簡単な問題から段階を踏んで学習させています。最後のステップ「ちょうせんしよう」(探求)というのが一番難しいんですけども、1年生は取りあえず、その手前のステップ「かんがえるちからをつけよう」(活用)までをクラス全員取り組ませています。
「ちょうせんしよう」は学習の進んでいる子には挑戦させるということにして、いきなり今までの繰り返し計算ドリルのように宿題として出しても厳しいかもしれません。授業の中で、一通り教科書の学習を終えた後に、教師が解説も加えながらアイテムの「かんがえるちからをつけよう」に触れ、その後に宿題として、一番難しい「ちょうせんしよう」のところは抜かして取り組ませたりします。

【アイテムの単元構成】 各単元は、4つのステップで構成されています。
 

活用のページ(「かんがえるちからうをつけよう」)というのは、授業で基本的にやるということですか。

菅野: 担当の学年では基本1回は授業でやって、2回目は、宿題でまたやらせるようにしています。

以前のドリル教材を2回、3回と複数回やることはありましたか。

菅野: ドリルは宿題とかで出しても割と簡単なので、別なところから問題を持ってきてやるという感じでした。アシストシート等補助プリントはいろいろあります。そういう(プリント)を2回繰り返しやらせるっていうことはありましたけど、ドリルや問題集自体を2回というのは低学年ではなかったかと思います。

■教員間で共通理解を図る
 

先ほど保護者に対してもご説明したという話がありましたが、アイテムを学校(授業)で活用するにあたって、先生がたの間で情報を共有する機会というのはあるのでしょうか。

菅野: はい。昨年度末に、教員間で共有する時間を持ちました。今年度になってからは改めてという形ではありませんが、学年の主任をはじめそのまま残っている先生がほとんどだったので、学級間で共有した内容を伝え合っているようです。昨年度末の話し合いでの共通理解を基に進んでいる感じですね。

学校全体で中上位層を伸ばしていかなければというのは大きな課題と言えますね。

菅野: はい。知能検査との相関を考慮して、その数値の高い子どもたちに対しては、ある程度対応していくようにと行政からの指導もあります。ところが、まず先生がたは進みの遅い子どもたちに目がいきますよね。これは教師の性分なのだと思います。数値の高い子どもたちに対して、実際、現場ではどうしていいかは分からないという戸惑があります。やはり、それが大きいのではないでしょうか。

佐々木義通校長: 同じ問題を繰り返しさせるとか、早く出来た子の理解が不十分な子を教えることによって、自分のスキルをさらに高めるとかっていうことは以前もやっていました。ただ、さらに中上位層の子どもたちにどのように力をつけていくかということを解決しないと、知能との相関もうまく図れないし、学校全体の(学力の)底上げにもならないかと思います。学習の苦手な子どもたちを救うだけではなくて、中上位層にいる子どもたちの学習をしたいという意欲や欲求も同時に満たす必要もあります。教科書自体が上位の子どもに対して問題も用意されていませんし。

そういう意味では子どもたちに対して、ちょっと背伸びするような問題を与えてあげるというのは、その子たちのやる気を高めたり、意欲を維持するという効果も期待できますね。

校長: トレーニングっていうのは、自分の力よりもプラスアルファのところをやるからトレーニングになります。自力で解ける問題ばかり解いても意味がありません。特に小学校の先生だと全教科持っていますから、発展的な課題をその都度用意するのが難しいかと思います。そうであるなら、準備されたものを使ったほうがいいという発想は非常にいいのではないでしょうか。

確かにそういう意味では発展的な問題を一個一個つくってくっていうのは、ちょっと先生がたにとってはご苦労多いですよね。
アイテムの問題ですが質的には、どのようにお感じになっておられますか。難しいステップ「ちょうせんしよう」は、どのような形で子どもたちに触れさせておられますか。

菅野: 1年生ながらも段階が上がるにつれ、読解力を問うようになっています。授業で一度触れないと理解できないというような問題も多いと思います。最後のステップ「ちょうせんしよう」は、ちょっとひねって出題されたりしています。そこまで取り組めるのはクラスの中で数名です。ですから、「ちょうせんしよう」のページは全員、全部をやるることにはしてないです。
私や支援員の先生は躓いている子の指導にまわります。解けた子は丸を付けてもらったら、どんどん先に進めるようにしているので、一番難しい「ちょうせんしよう」にもチャレンジできます。そういう子はちょっと躓いても、一言アドバイスをすると理解します。

■言語活動を広げる中で
 

今年(2016年)の4月から使い始めて、アイテムに対しての子どもたちの反応はどうですか。また、アイテムについて先生がたの反応はいかがでしょうか。

菅野: 今まで簡単に解いてしまって、他のことに興味が移ってしまったりしていた子どもも、他の子に教えたり、退屈している子にとっては、次にまた自分のやれる問題があるので意欲を持たすことができます。算数が得意な子にとっては、進みの遅い子どもたちに教えることもでき、進みの遅い子どもたちにとっても、ちょっとトレーニング的な問題にもなっているのではないかなとは思います。今まで採用してきたプリント教材だと、宿題に出しても簡単に解いてしまっていましたから。

校長: 5年生、6年生の担任の先生がたは、アイテムが全国学力・学習状況調査のB問題にも相通ずるというようなことを話していました。問題が読めないとB問題は解けませんから。問題から情報を拾い出す力と、この問題は、何を問うているかという文章理解が必要ですね。そのあたりに子どもたちは戸惑うようです。普段の指導の中で、それをトレーニングするのは厳しいものがある。そういう意味でもアイテムという問題集は良いと高学年の先生がたの中で話されていました。
全国的にみて福島県は全国学力・学習状況調査の算数、数学、A、Bとも弱いです。ですから、県内では算数、数学に力を入れているようです。指導方法の研修というよりも、子どもたちの成果に結び付くような実践的な研究としてアクティブラーニングを進めたりしています。

菅野: 本校でも取り組んでおられる先生は多いです。いろんな講習会とか、研修会へ行っても、やはり言語活動の充実をと指導されます。私たちもそこを意識せざるを得ない状況もあります。

言語活動を広げると、低学年だと収拾がつかなくなってしまうっていうようなことはないですか。

菅野: あまりないです。子どもに話をさせるとして、1年生なら1年生、2年生なら2年生で、学年に応じてどの程度までが妥当なのかなと考えながら進めています。あと、子どもが話さざるを得ないような場面をつくっていくというのも一つの課題ですね。

ちなみに子どもたちが説明する状況とアイテムとの関連性はありますか。

菅野: 毎回ではありませんが、アイテムの難しい問題を使って算数が苦手な子どもたちが分からないときに、担任が説明をしてしまうのではなく、理解できる子どもに説明をさせる機会をつくったりしています。子どもたちは、それぞれやり方とか考え方が違ったりするので何人かの子どもたちに発表させたりもします。

1年生ではなかなかないかもしれないけど、他の人とは違うんだなって式があったりすると、多分、新しい発見につながったりとかするんでしょうしね。ちなみに菅野先生以外の1年生の学級でも、菅野先生のような感じで使われているのでしょうか。

菅野: そうですね。私たちの学年はそういうところは情報交換をして、共通理解を図りながら進めてます。その辺はまめに話をしながらやっています。

校長: こういう教材というのは、ある程度、自由度を持たせて担任に渡しておかないと、それに縛られてしまいます。本校は各学年3クラスですけど、子どもは一人ひとり違うわけですから、担任がその都度、状況を見ながら対応したほうが良いと思います。もちろん、皆でやらなければならない教材(部分)もある訳ですが。ある程度、使い方に自由度があるほうが担任もやりやすいし、授業の状況に応じて子どもに対応することが良いように思います。そして、各先生が各々のクラスで使っていく中で、活用方法に関わる情報を交換していくことが大切になるのではないでしょうか。

まずは、各先生に思うように使っていただき、その中で得た情報をお互い共有していくということですね。
本日は、ご多忙の中でのご対応をいただき有難うございました。