特定非営利活動法人 次世代教育推進機構
サイトマップ アイコン → サイトマップ

  ホーム 学校授業のスパイス 「アイテム」企画特集 連動企画 日本教育新聞 2014/01/27付 連動企画vol.1  

MENU  
「アイテム」企画特集 連動企画

アイテムについて

資料@:算数教材「アイテム」について
★保護者への説明として


資料A:アイテムの活用について
教師間の共通理解のために

「チャレンジタイム」の様子1
「チャレンジタイム」の様子2
「チャレンジタイム」の様子3
「チャレンジタイム」の様子4
「チャレンジタイム」の様子5
「チャレンジタイム」の様子6
PDFファイルを表示するために必要です。→「Adobe Acrobat Reader」のサイトへ  
PDFファイルをご覧いただけない場合
は、上記からAcrobat Readerをダウン
ロードください。
 

習得から活用、探究までを系統的に〜教師間の共通理解で学力向上へ〜(鹿児島県霧島市立国分南小学校)

 日本教育新聞・企画特集(2014年1月27日付)連動取材の第一弾、鹿児島県霧島市立国分南小学校(長瀬照道校長)編をお届けします。
 鹿児島県は、全国の中でも「アイテム」の採択校が多い県。その活用方法は実に様々ですが、同校では、先生方の共通理解の元、朝の「チャレンジタイム」において、全校一斉で「アイテム」を活用し、学力の向上に繋げられています。この取材では、その考え方と進め方、そして児童の変容についてを濱川道也教頭先生、そして算数専科担当の下井田智彦先生にお伺いしました。

日本教育新聞企画特集(2014年1月27日付)“学校全体で取り組む独自の学力向上プラン”
併せてお読みください。


印刷用 PDFファイルのダウンロード

 

習得から活用、探究までを系統的に

「アイテム」の導入意図を保護者へ伝える

「アイテム」ですが、昨年度から導入をされたと聞いていますが。保護者の反応はいかがでしたか。

下井田智彦先生(以下下井田) − 鹿児島県では、教材は保護者からお金を頂いて購入するので、基本的には全て活用しようという風潮があります。例えば、「計算ドリル」「漢字ドリル」は全部使い切ろう、と。そんな感じですから、「アイテム」は、全ての子が全て使い切るというのは、少し難しいねという話になっていました。ですから、今年度の「アイテム」継続採択にあたっては、保護者に対して、そこのところをしっかり説明しておきましょうということになりました。それで、昨年度末3月9日に「アイテム」を導入した経緯、その特徴を説明し、個に応じて活用していますとお話をしました(資料@参照)。終わらなかった子どもたちは、「アイテム」には、解説書が付属しているので、春休みにも使ってみましょうと保護者にお伝えしました。今まで本校は「繰り返し計算ドリル」を中心に計算領域だけの教材を使っていましたが、「アイテム」では、全ての領域に広く対応していますよとお話ししたんです。今までは、対応してない領域は教師がプリントを印刷して配布していましたが、その手間も印刷代も省けます、あと、「計算ドリル」だと360円掛ける3学期分だったので、年間で約1,000円を超えますが、「アイテム」は950円で、「値段も70円か80円ぐらいは安くなっていますよ」とお伝えする中で、保護者の方も、値段的にも安く、広く対応しているのはやっぱりうれしいと。理解は得やすかった気がします。

 

教師間での共通理解

「アイテム」を活用することにおいて、学校内でのコンセンサスをどのようにとられていますか。

下井田 − 今年度ですが、この学校に新しく赴任された先生もいらっしゃいますので、再度、教師の間で共通認識を持とうということになりました(資料A参照)。例えば、習得のページ(ステップ1,2)は、全児童必修とし、ここは、担任が終わるまで必ず教師が見届けましょうと。活用、探求(ステップ3,4)というのは、子どもにとっては難しい子もいるので、それを家庭学習とするのではなく、宿題で出すとしたら、習得までにしましょうという教師間の共通理解も図っています。
 活用についての扱いですが、基本的には、朝の「チャレンジタイム」で取り組むことにしています。また、授業が早く終わったときには取り組んでも構わないと子どもたちには伝えています。ただし、子どもの学力差を考えたときに、活用というのが厳しい子どもには、もう1回、習得をやり直すように話しています。全ての子どもが、全てを必ず使い切るのではないという考え方で、担任の負担も軽減されたのかなと思っています。
 また、探求は本当に活用ができた子どもで、意欲がある子どもには挑戦させようとしています。できる子どもはどんどん挑戦させましょうと。こうしたことを教師間で確認しています。

アイテムの中の段階(ステップ)に応じた進め方を、共通理解しておくということは、重要ですね。

下井田 − 実は、導入1年目である昨年度は、使うからには活用や探究までやらせなきゃならないと言う先生もいらっしゃって、使い方の共通理解が図れていませんでした。そうしたこともあり、2年目の今年度は、教師間での「アイテム」の活用方法の確認をするとともに、本校での「アイテム」の取り組み方を保護者にも説明し、ご理解をいただきました。

この学校の特色について、教頭先生からお話をいただけますでしょうか?

濱川道也教頭先生(以下濱川) − 算数に限っては、職員もそんなに苦手意識はなかったのですが、国語に関しては、多くの職員の中で抵抗があるようでした。であれば、国語をやってみようかということで、市の研究協力をというかたちで国語の研究を24年、25年度と2年間取り組んでいます。そうしたこともあり、現在、国語が苦手という教員はゼロなんですよ。もともと職員の意欲が高いのだと思います。一つひとつの事象に対して、後ろ向きに見るのではなくて、常に前向きに進めようという意欲があります。そういうのが本校の全体的な風土かと思います。もう、一つは校長のリーダーシップです。本校では、校長の意を職員がしっかりと酌み、それをストレートに行動に移していく。学校教育目標を校長が掲げて、それの具現化のために職員が一致団結しているという姿がうちの学校だと思います。

 

「チャレンジタイム」での活用

学力向上に向けて、「チャレンジタイム」(毎週木曜日8:20〜8:45)を実施されていますが、この取り組みについてお聞かせいただけますか?

濱川 − 本校の独自のカラーを出しながら、学力向上を目指して取り組んでいます。本校の場合は、週2回朝、25分間取って、「チャレンジタイム」。火曜日は、「チャレンジ国語」を実施しています。そして、木曜日が「チャレンジ算数」という形で「アイテム」を活用しています。これは結構大きな力になっていると思います。

「チャレンジタイム」を活用して、校内一斉で「アイテム」に取り組んだというのはいつからですか?

下井田 − 昨年度からです。現在の校長(長瀬照道校長)が、本校に来て3年目なります。赴任されての最初の1年間、本校の実態を見たときに、全国学力状況調査のB問題が課題であるということから、2年目は、これを改善していこうという話になりました。その年は、東日本大震災があり、全国学力状況調査が2学期に実施されました。自分たちで採点をするということになっていましたから、採点しながら本校の学力の状況を分析することもできました。結果として分かったことですが、授業の中で自分たちも工夫して指導をしているけど、B問題のような活用問題については、子どもたちは、そうした問題に慣れてないというか、そういうことを経験してないんだという話になりました。ちょうどその時にこの「アイテム」と出会いました。審査用見本を取り寄せて校長に見せて、これでいこうと。ただし、これ(「アイテム」)をするには時間が必要です。ですから、どこかで時間を生み出せないかという話になり、帯の見直しをしようということになりました。結果として、週一回、朝学習の時間「チャレンジタイム」で一斉に取り組もうと。やはり、本校の実態を踏まえたときに、しっかり、じっくりと取り組む時間を取ろうと考えたんです。導入の1年目は、15分で解いて答え合わせをしてという感じで慌ただしかったのですが、2年目である今年度の5月からは、時間設定の見直しをし、25分に改めました。実際、25分ってゆとりがあるので、子どもたちにじっくり「アイテム」取り組ませることもできるようになりました。

 

低学年での「アイテム」

低学年を中心に「チャレンジタイム」を拝見させていただいたのですが、子どもたちの集中力がすごいと感じました。とにかく、熱中してやっているのが凄いと。低学年から使う意味、意義についてお話しいただけますか。

下井田 − 低学年の先生たちが昨年度、『また来年も使いたい!』っていうのを言ってきたんです。その理由は、子どもたちの意欲が「アイテム」を使うことで高まるという話でした。低学年の子たちにとっては、活用っていうところがちょっとした難しさであって、取り組みやすいというところがありました。校長も、『徐々に子どもたちの学習意欲が高まってきたよねって!』と実感されているようです。主体性、自主性ですか、そういうところにつながっているような気がします。算数という科目の特性もありますが、高学年になると、子どもたちの学力差がついている状況なので、どうしても「アイテム」の問題が難しいという子どももいます。しかし、1年生の段階から活用することで、子どもたちにはこれが当たり前というか、普通になっていくのではないでしょうか。継続的な活用で、そうした壁を感じないで取り組むことができるような気がしています。

低学年では、「アイテム」にある文章題が読めないという言われる先生もいますが。

下井田 − 難しい問題や文章問題への対応としては、25分間の「チャレンジタイム」で解消しています。例えば、子どもたちが躓いている問題を取り上げて、『じゃあ一緒にやってみましょう』と。高学年は、基本的に個人で進めていきますが、そこでも、子どもたちが共通して停滞するところは、1回鉛筆を置かして、『ちょっと先生と前でやってみようね』と全体で取り上げる場面も作っています。25分あると、吸い上げるゆとりがあるので、そこで対応できているかなと思います。

子どもたちの意欲もさることながら、先生方のこの事業に対するご理解も相当進んでいるようですが。

濱川 − 最初の頃は、校長と私で分担して、「チャレンジタイム」の様子を見て回っていました。スタートしたばかりの頃は、先生方の想いもバラバラで、『これ(「アイテム」をしなければ、他のいろいろなことができるのに…)という先生もいて、全く別のことをやっていた先生も2,3名いました。「アイテム」の活用方法の共通理解を図ったいまでは、そんな状況は全くありません。最初の頃は、少しガタガタしましたが、現在は羽田を飛び立って水平飛行に入ったところでしょうか(笑) もう、安心しています。これは、担任だけではなく、市の特別支援教育の支援員の先生に入っていただいたり、理科専科や指導法改善の職員にもフォローに入ってもらったことも大きです。しっかりとした協力体制ができているので、担任1人が背負わない。確かに、ちょっと手のかかる子どももいますが、そこら辺のサポートは十分にできていると思います。

 

児童の変容

「アイテム」の活用については、先生方の中に非常にご理解があったように見えますが、それは「アイテム」をやることによって、子どもに変容があったからということもあるのでしょうか?

下井田 − 「アイテム」導入時から、先生方の意識は高かったような気がします。実際、活用の問題を集めてこようとしたら、教師側にも負担が掛かるし、担任の裁量によって問題の質が変容します。「アイテム」では、習得から探究までを段階を踏んで示されているので、すごく手間が省けてやりやすいとのことです。先生たちもその活用し易さというのを感じてきたかと思います。学習指導要領に、活用すると書いてあっても、『活用って何?』というところもあったのですが、「アイテム」を通して、『ああ、これがこの単元の活用なんだね!』と、少しずつ掴めるようになってきたかと思います。
あとは、子どもたちの変容が一番ですね。低学年は本当に意欲が高まりました。高学年はいわゆる全国学力状況調査等の結果で、数値として“ボン”とあらわれて来たので。それでもう先生たちがもう何も言えなくなったというか、そういう状況になってきました。

数字が示してくれるというのは本当に分かりやすいですね。先生方もこれが国分南小のスタンダードだなというのを、本当に共通理解されていて、「アイテム」やっていることは当たり前っていう状況が形成されつつあるんですね。

下井田 − 同じ地区内でも「アイテム」を活用されている学校がありますが、学級単位、学年単位での活用です。担任が変われば、また、以前に使っていた「計算ドリル」に戻るというのは、子どもたちにとっては可哀想なのかなと思います。本校の場合、学校として揃えていきましょうと同意の元に進めています。

そういう指導の足並みを揃えることはかなり重要ですよね。

下井田 − はい。毎週火曜日の放課後ですが、学年部会等の時間を設けているので、この時間に教材の活用方法等についての確認をしようということになっています。ここで共通理解を図るようにしています。例えば、CRTが12月にあるので、そこに向けて「アイテム」で復習していこうという方向性の確認もしたりしています。

 

進みの遅い子への対応として

進みの遅い子どもたちに対しては、「アイテム」だけで、対応できているのでしょうか。

下井田 − はい。基本的には先生たちは、「チャレンジタイム」の中で意識的に机間巡視しながら、ペンが止まっている子どもたちに対して丁寧に手を差し伸べています。また、上位の子たちにとっては、今まで本当に手持ち無沙汰感があったのを、この「アイテム」で満足させてもらっているという感じでしょうか。結構、難しさを楽しんでいますね。

高学年での学力差ですが、低学年からの「チャレンジタイム」での学習習慣により、だいぶ解消できるような感じですよね。ところで、「アイテム」の活用、探究に対しての子どもたちの意欲はどんな感じでしょうか?

下井田 − 子どもたちにとっては、活用が解けないとだめだっていう意識も無くなってきていると思います。『僕は習得までで何とか頑張りたい!』というのも認めています。また、『わたしは、活用までいくんだ!』という子もいます。探求までいかないと気がすまない子もいて。その子に対しては、いいようにやりなさいということで。でも、目標を設定したからといって、諦めるような子はいません。活用はできるけど習得までっていう子はあまりいませんね。『ここが理解できたら、きっと活用までできるよ!やってみようか!』って言ったら、『活用までします!』と。そういう素直な面もまだ残っているので、すごくやりやすいですね。

低学年の「チャレンジタイム」で、「授業で分かる!」とか、「スペシャルアイテム」(何れも「アイテム」に掲載のトピックス)を1人で定規やコンパスを使い挑戦している子どもたちが結構いました。子どもなりに工夫して、一生懸命取り組んでいる姿を見て、これはすごいなって感動しました。いつも、こんな感じですか。

下井田 − はい。あれを解くのが楽しいみたいですよ。

 

授業内での活用について

授業内での「アイテム」の効果的な活用法があればお話しください。

下井田 − 先ほどもお話ししましたが、早く終わっている子どもたちに「アイテム」をやらせるのは、すごく効果的です。事前の準備も要りませんから。私自身ですが、初発の単元と終末は、どうしても関心意欲を高めたいと考えている中で、特に単元の終末では復習をして終わりとしないで、「アイテム」にあるチャレンジ問題をトピック的に拾ってきて、20分程度やらせて、『これは次の学年になったらくわしくお勉強するけど、図形って楽しいよね!』っていう期待感を持たせて、その単元を終わらせるようにしています。

「アイテムプラス」の活用

最後に、今年から「アイテム」サポートツールとして、「アイテムプラス」という単元プリントをご用意させていただいているのですが、これは活用されていますか。

下井田 − 「アイテムプラス」は、本当に便利なので利用させていただいています。ホームページの「アイテムプラス」のところから、ダウンロードしたプリントを今レディネスで活用しています。「数学的な考え方」、「知識・技能」で分類されているので使いやすいんですね。

「アイテムプラス」について

最後に、学校として理想的なスタイルになっていますが、今後の課題というか、次のステージに向けて、何かお考えになっていることはありますか?

濱川 − 学力面は、成果も出つつあり、ある程度落ち着いてきています。折角ここまできたのだから、ここで下げたらいけないという状況はあります。そんな意気込みで、全国の学力学習状況調査、CRT、それに鹿児島県の基礎基本定着調査で良い結果を出し続けていきたいと考えています。

本日は、ご多忙の中、お時間をいただき有難うございました。


 


この度の取材におきまして、ご理解、ご協力をいただきましたことを厚くお礼申しあげます。