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  ホーム 学校授業のスパイス 「アイテム」企画特集 連動企画 日本教育新聞 2013/01/28付 連動企画vol.1 <学級担任・現場編>  

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「アイテム」企画特集 連動企画
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子どもに寄り添うことで伸びる学習意欲 2
やり抜いた時に残るもの〜 <学級担任・現場編>


1年間大切に使います

「アイテム」算数との出会い

次は4年生担当の池田先生に伺います。
アイテムを使うきっかけについてお聞かせ願えますか?

池田先生(以下I):
 アイテムを使う前は、単元の問題をプリントやドリルで行っていました。でも、早く終わってしまう子となかなか進まない子の時間差が激しかったんですね。早い子は、さっと終わらせて遊んでしまう。その子たちへの補充としてアイテムを使い始めました。アイテムとの出会いは、筑波大附属小学校の算数授業研究会に参加した際です。そこでアイテムの存在を知り、内容を見る機会がありました。その時に購入して、低学年の子どもたちにプリントの補充や宿題として試したのが初めです。

アイテムの使い勝手はいかがでしょうか?
先生が個別に指示を出したり、指導を行ったりする事も多いと思いますが…。

I:  私が筑波大附属小学校・算数研究部の先生方の考え方、指導法が好きでしたので、その先生の教材ならば、という信頼感は最初からありました。学年では3年生、4年生と継続して使っています。3年生の時は、1ページ丸々宿題にしていました。すると子どもたちから「やっと問題が終わったのに、その後に下(欄外)の計算ドリル20題やるのはキツイよ!」という声があがりました。言われてみればその通りなので、4年生になってからは、欄外の計算ドリルを朝自習などに使い、上の問題部分と計算ドリルと使う場面を分けています。ですから3年の時はアイテム+プリントを用意していたんですけど、4年になってからプリントは一切作っていません。全部アイテムだけです。アイテム1冊で網羅しています。

1冊まるまる学習したら、実力がついてきますよね。
先生が個別に指示を出したり、指導を行ったりする事も多いと思いますが…。

I:  学力はすごく付きましたね。そして忍耐強くなりました。「やだ〜」という時もありますが、「やらないことには終わらない」ということが子どもにも分かってきたようです。 丸付けは全て私がしています。間違えた問題には付箋を付けて子どもに返すのですが、最初は付箋がたくさん貼られていて…。解けない子は休み時間に私を捕まえては、「先生ここどうやるの?」「ここがわかりません」と質問してきます。同じ問題を6人くらいが聞きに来るといい加減私の方も「またこの問題」と思うんですけどね。でもそこは、ひとりひとりちゃんと教えないと、子どもたちは達成感を味わえないだろうなと思って付き合います。休み時間は殆ど子どもたちと一緒にアイテムをやっていますが、子どもたちはアイテムが好きです。終わった時、「やった!」という言葉が出ます。感動というのでしょうか、頑張れば頑張るだけ結果が出るんだ、という事が子どももわかっていますので。今の4年生の子は本当に頑張っていますね。

 3年、4年生は学習内容が難しくなってきます。保護者も低学年と違って、家庭で教えられない内容も増えてきますよね。その時は保護者の方に「無理しないでください。学校はそのためにあるんですから。わからなければわからないと連絡帳にでも書いて下さい。あとは私が学校で個人的に教えます」と伝えています。4年生では、みんなそういうスタンスで取り組んでいます。

 

保護者と先生の連係プレー

アイテムを使用する際は、保護者に対して何か「お知らせ」をしていますか?


4年生放課後の風景

I: (昨年3年生を担当していましたが)面談時に、「先生、アイテムは難しいです」というお声が保護者から出ました。基本的にアイテムの答えは、子どもにも保護者にも渡していなかったので…。そういう保護者の方には内緒で答えを渡していました。「解答をみて、こっそり教えてあげてください」と言って。でもそれはクラスに4,5人です。家庭でどれくらいフォローできるかも重要ですね。低学年の時は、保護者の方からあまり大変という声も聞こえなかったのですが、今は(指導要領の改訂で)以前高学年で出てきた問題が3.4年で出てくるようになりました。ha(f)、a(e)を扱う「平行な面を求めること」などがそうです。私自身、4年のアイテムを解いてみて「おっ」と感じる(難しい)問題があったほどです。ですから、保護者の方にも、いつでも(わからない問題がある時には)私のところに聞きに来させてください、と伝えていました。私はとにかく、子どもと一緒にやることが楽しいんです。それは4年生になっても同様です。学級通信にも「学習内容が難しくなってきています。分からない問題があれば質問しに来てください」と何度も書いています。保護者の方の中には、「答えはわかるけど教え方がわからない」とおっしゃる方もいます。「そうですよね。そういう時はいつでもどうぞ」と。子どもに「明日、先生に質問してごらん」と言ってください、と。保護者の中にも「アイテムは楽しい」と言ってくれる方がいるんです。忘れていたことを、子どもと一緒に勉強すると思い出して楽しいって。ちょっと頭の訓練みたいな感じなのでしょうね。アイテムには全然歯が立たないお母さんもいますけど、ちょっと学生時代に数学が好きだったっていうお母さんは、子どもと一緒にやっていますね。時々、親の字でアイテムに書き込みが残っていて楽しいですよ。

 3年生の時は、とにかくアイテムを終わらせることを目標にして1年やってきました。幼稚園の妹さんが「アイテム終わったの?」とお姉ちゃんに聞くくらいだったそうです。家族でも「アイテム」が合言葉だったようで。子どもたちには、いつもアイテムがそばにありました。(アイテムは1冊950円ですが)ある時子どもが「ちゃんとやらなくちゃ勿体ない!」と言ったんですね。なんでと聞くと、「ちゃんと勉強しないと、950円が勿体ない!」と言ったのを聞いて、すごいなぁと感心しました。保護者からも「来年もアイテム使いたいです」という方が何人かいらっしゃいました。4年になって、「今年もアイテム使うよ」と言うと「やった!」と声が上がったんです。嬉しかったですね。今年は2年生もアイテム使っていますが、とっても喜んでいる保護者が何人もいます。

 

若い先生に引き継ぐ

次に2年生担当の羽田先生に伺います。
今年アイテムを2年生で使い始めるにあたり、池田先生からアドバイスをもらったり勧められたりしたのですか?


丸付けをしてアドバイスをしている池田先生

羽田先生(以下H): 私も筑波大学附属小学校で行われている算数研究会に、池田先生に誘っていただいて行きました。学生時代は算数が大の苦手だった私ですが、研究授業を見て、初めて「算数って楽しいな」と思えました。アイテムの問題(内容)も見せていただいたのですが、とても魅力的に映りました。
 ドリルは半期で1冊500円、年間約1,000円します。アイテムの問題量は(ドリルと比べると)全然違いますよね。とても豊富です。2年生では「かけ算九九」を学習しますが、ただ暗記して計算練習をするのではなく、かけ算の概念を教えたい。そういう問題をやらせたいと思いました。問題集は、厚ければ厚いほど指導する側も大変です。ですが、池田先生が仰っていた達成感を子どもたちに味あわせることで、自信をつけてあげたいなと思います。

それまでは算数に取り組む意欲が低いと感じていましたか?

H: 算数に限らず、まだ2年生なのに勉強に対して消極的な子が多いな、と感じました。勉強するのは楽しいのだけど、自分に自信がない子がいたり、授業中も進んで手が上がらないということがありました。そこで思い切って「アイテムを使わせてほしい」と学年の先生に提案して、今年から使っています。

2年生は今、学年全体で使っているんですか?

H: はい、2年生全体と4年生全体で使っています。

I: (今の4年生の)子どもたちは、3年生の時のアイテムを大事に取ってあるんですよ。「こんなに苦労したものは捨てられない!」と言って。

 

子どもに負荷をかける

池田先生に伺います。
アイテムを解いていく過程で、子どもたちにどんな力がついたと思いますか?それは他教科や普段の学校生活にも影響していますか?

I: 粘り強い子になったと思いますね。やらなければいけないことは、大変な事でも放り出さなくなりました。「宿題の量が多いかな」とこちらが思っても、きちんとやってくるようになりましたね。宿題をやってこない子も殆どいなくなりました。逃げようが何しようが、やらないと1年が終わらないんだ!ということを、アイテムを通して学び、取り組んでいます。子どもたちは、「アイテムは大変だけど、頑張れば終わるんだ」と言うことを実感していると思います。全校集会などを見ても、4年生は結構きっちりしていて学年全体が締まっている感じがしますね。少し自画自賛ですけど(笑)。

「鍛える」ことは大事なことですね。


集中して真剣に取り組む

I: はい。でもまだまだ鍛えれば力がつくと思います。今思うと、低学年の時にプリント1枚で単元学習を終わらせていたことが、とても勿体なかったと思います。もっとたくさん宿題を出しても、(今の4年生だったら)やれたなと思うので。やはり「鉄は熱いうちに打て」です。そのことを実感しました。

先生が「この子たちはできるんだ」という前提で行っていますよね。そのことが子どもたちに伝わって、だから期待にこたえようと思うんですね。先生が頑張ってくれるから、僕たち私たちも…と思うのではないでしょうか?

I: 「やらないとマズイな」と思っているんじゃないですかね。正直、子どもたちには頭が下がります。私が4年生だったら絶対逃げたいです(笑)。殆ど毎日、放課後は残ってアイテムをやっていますからね。休み時間も、です。今の4年生は、リコーダーの練習をやっているかアイテムやっているか、ですね。(そんなに追いつめていいのかな…と思う気持ちも無きにしも非ずなんですけど)全く解けない子には、初めの3題くらい子どもと一緒に解いてみます。(解けそうなら)「あとはお家でやっておいで」というような感じで進めています。プリントにしたら(私自身も)楽なのに、と思うこともあります。でも、それはやっぱり嫌ですね。子どもたちには「できないことは怒らないけど、やらないことには先生怒るよ」と言っています。できないことは悪いことではありません。わからないから学校に来て、今勉強しているんだから、と。

 子どもの中には「かけざん・九九」が理解されていない子もいるんですね。そういう子には、せめて下の計算ドリルだけはやらせたいなと思います。本当にアイテムが進まない子には「このページはできるから一緒にやろう」「この問題だけはやっておいで」と個別に対応するようにしています。帰国子女の子がいて、日本語がまだよく理解できていない子がいるのですが、その子にも、一問ずつ読みながら教えながらやっています。その子も逃げないで来るところが偉いと思います。

 

2年生で初めてのアイテム


解けるまで何度もやり直します

羽田先生は今のお話についてどう思われますか?

H: 私は教員を始めてまだ2年目で、2年生を担当するのは今年が初めてです。今の学年がどういう状況下なのか、まだわからない状態でアイテムを使い始めました。初めのうちは宿題をやらない、算数をやるのがいやだ、という子もいました。アイテムは、やったらその都度チェックして、間違いがあったら付箋を貼っていくようにしています。直さなければ付箋はどんどん増えますよね。子どもにとっては、増えれば増えるほどいやになるとは思うのですが、「この付箋の数は、自分が怠けた数なんだよ」と伝えています。「今楽をすることはできるけど、あとで苦労するのは自分なんだよ」という話をしました。その後は、アイテムも漢字ドリルもやってくるようになりましたね。池田先生と同様ですが、子どもがあきらめないようになったかな、と思います。「算数楽しい!」っていう子が増えてきたんです。

 私は初任で4年生を受け持ちましたが、算数は凄く難しいなと実感しました。今の2年生には、九九だけはできるようにしてあげたいという願いがあります。そして楽しんでやってもらえたらな、という思いもあります。算数を2年生で嫌いなったら、すごく勿体ないと思います。自分が大人になって、算数を日常的によく使う事を実感していますから。得意とまでいかなくても、算数嫌いを減らしていきたいですね。そのために頑張ろうと思います。答えだけを教えるのは簡単だと思うのですが、それでは算数の楽しさが伝わらないし、子どもに申し訳ないと思います。私もわからない事は勉強して、迷った時は周りの先生方に聞いて、教えてもらいながら進めています。

 (アイテムは)単純な計算問題だけではないところがいいです。解説する先生方のキャラクターが入っていたり、挿絵もちゃんと意味のあるイラストで。最近子どもたちがそれに気付いて、「先生この絵を見たらわかったよ!」と言っていました。子どもに自信がついてきたのかな、と思います。ただ、まだいける!と思います。まだ少し、子どもが諦めているかなと思います。時々、「先生、答え教えて」と言われます。「答えを教えるのは簡単だけど、損をするのは自分だよ」と伝えているんですが、まだ本当の意味をわかっていないみたいですね。やはり子どもは、楽をしたいんです。でも、「努力したことは、絶対に忘れないから」という話はしています。子どもたちがこれからどうなるか、楽しみです。私も頑張ろうと思います。

池田先生は経験豊富なので、授業の型・スタイルをお持ちだと思います。羽田先生はこれから作り上げていく部分が多いかと思いますが、指導法や環境面などで変わってきた部分はありますか?

H: 私にも怠け癖があるので、子どもたちの気持ちはよくわかるんです(笑)。でも、子どもたちがきらきらした目で、一生懸命やったアイテムを持って来るのを見たら、「その思いを返さないと!」と思うようになりました。諦めてしまうことは、すごく簡単だと思います。解答を渡してしまえば自分も楽なんですが、最後まで解答は渡しません。それをやってはいけない、と思っています。夏休みの間は、「お子さんに見せないで下さい」とお願いをして保護者の方に(丸付けのために)お渡しをしましたが、9月に全部回収をしました。私は通常授業で(1回目は)赤色で採点、間違えた問題は青色で採点、という方法で行っています。その方法を、保護者の方が(私からは何も伝えてないのに)同じようにやってくださって。とても嬉しく思いました。子ども一人に対して同じ数だけ保護者の方がいらっしゃるわけですよね。保護者の方も一緒に協力してくださるのだから、私もその思いに応えたいなと思います。

 

情熱をくみ取り、育てる

指導法に関して、羽田先生から池田先生に尋ねることもありますか?

I: 羽田先生が初任の時に席が近くて。初任者研修の際に、羽田先生に少し教えることがありました。筑波大附属小学校で副校長をされている細水保宏先生が、若い先生方に開かれている算数研究会があります。その研究会があった時に、「一緒に行ってみない?」と声を掛けました。今年は筑波大学附属小・算数研究部主催「オール筑波サマーフェスティバル」に羽田先生と泊まりがけで行きました。私が半ば引きずりこんでしまった感じですね。

どうして羽田先生を誘われたのですか?

I: (算数研究会の)話をした時も、とても熱心に聞いてくれました。その時、この先生には色々と教えたいなと思いました。気持ちがない人には教えたいと思わないですね。この人ならと感じるものがありました。私も今年で現場を退きます。ですから若い先生には、いい研究会にどんどん参加してもらいたいと思います。今、本校から筑波大附属小の算数研究会に5,6人参加しています。時には泊り込みで。クラスでは(筑波大附属小学校算数研究部)田中先生の話などをすることがあります。研究会に参加することを話すと「この先生に伝えてほしいことがあるんだけど…この問題難しすぎる!って言っておいて」と言ってました(笑)。

 アイテム以外に、3年生から『ジャマイカ』とい計算ゲームを取り入れてもいます。4年生は殆どの子が持っていますね。家庭で保護者の方ともやっています。『ジャマイカ』は数のセンスを養えます。今の4年生は4年間(持ち上がりで)受け持っているので、私が持つと算数好きになるっていう情報が子どもたちの間で流れているみたいで。「先生に聞きに行くと、算数が好きになっちゃうんだよね」と言われます。私はそんな思いでやっているわけでもないのですが。私は、簡単で早く正しく解ける方法を子どもたちに教えていますが、加えて考える面白さも教えています。答えはひとつでも、色んな方法があることを知ってほしいですね。

 算数は机の上だけの勉強だけじゃありません。大きくなったら、やり方・解き方はいくらでも導き出せますよね。とにかく、算数を嫌いにならないでほしいです。算数は楽しい、数が好き!そういった感覚を身に付けてくれるといいかな、と思っています。

池田先生に伺います。アイテム学習の際、付箋を使ったやりとりをしていますよね。子どもたちが、わからない個所に付箋をして、わかったら付箋を返すというやり方をされているようですが、そのような放課後指導は毎日行っているんですか?


間違ったところは付箋を貼って戻します

I: (4年生は)ほとんどやっていますね。20分と短い時もありますが。分からない問題を溜めたまま帰すことは胸が痛いですね。1枚でも2枚でも、その子の付箋を取ってあげたいなと思います。好きな子はどんどん聞きに来ますが、やはり付箋の多い子ほど聞きに来ないですからね。その子たちには、私から声をかけています。今日集めた宿題は、その日のうちに返すようにしています。付箋の数が多かった子が誰なのかわかりますので。「今日はこの子を教える時間にしよう」と思います。学期末には、(子どもたちに貼った)付箋がたくさん私のところへ戻ってくることがあります。反対に、私の持っている付箋が全部なくなって子どもたちのアイテムに貼られることもあります。そういう時は、「先生の付箋がなくなったよ。みんなのところへ行っているね」と言います。その付箋が戻ってくると「みんなの付箋が無くなって戻ってきたよ。みんなが頑張っている証拠だね」と伝えます。

子どもたちに付箋が多く行っている=わからない内容が多いとくことですよね。その時はどのようにしていますか?

I: 算数の授業が早く終わったら、残りの時間は「アイテムタイム」として授業時間内にやることもあります。(その時間内では)全員を見られないので、放課後に個別に呼んでみてあげる。そういう時間を作ることが大事ですね。アイテムは難しい問題もあるので、どこかでフォローしないと嫌いになると思います。フォローに疲れると、プリントにしたいなと思ってしまいがちですが…。

 フォローには時間がかかります。子どもごとに分からないところが違いますので。問題を読ませて、どこまでわかっていてどこから分からないのかを確認しながら進めます。結構教えるのに時間はかかるんですが、そこを大事にしてあげたいなと思っています。


子ども同士で教え合う姿

 3年生の最後に、「アイテムの答えを渡すね」と伝えました。すると「えっ!先生、アイテムに答えって付いてたの!?」とびっくりしていましたね。ですから、4年生はアイテムに答えがあることは知っています。ある時、お友達に答えを聞いて答えだけ書いてくる子がいたので、「アイテムの答えあげるよ。でもそれは、あなたのためにはならないけど」と伝えました。すると泣きながら「いいです。いらないです」と言っていました。「人の答えを見て写して書いてきても、何にも自分の力にならないんだよ。わからなかったらいつでもおいで」と子どもたちには伝えています。人の答えをみて正解しても、全然嬉しくないことも教えています。中には途中がまっさらなまま、答えだけ書いてくる子もいました。「この問題、どうやって解いたの?」と聞いても全くわかっていないのです。友達同士で教え合うときも、自分のアイテム見ながら教えることはさせていません。どうしても子供は、(自分のアイテムに書き込んだ)「答え」を見ながら、友達に教えます。手元に「答え」がなければ、(一度解いた子どもも)また一緒になって解き方を考えていますね。そういう姿を見ると、子どもってすごいなと思います。 子どもたちはアイテムをとても大事に使っていますし、大切に思っています。ですから、私のところに提出するときも大事に持ってきますね。1年で一冊なので、結構傷みます。破けたところにはテープを貼って使っている子もいますよ。

子どもたちにアイテムを頑張らせるポイントはどのような点ですか?

I: アイテムは問題量が豊富ですから、最初は簡単な基礎的な問題からスタートしています。子どもは「この問題、簡単!」と思っても、だんだん(問題が)難しくなっていきますよね。そこであきらめる子と、燃える子に分かれます。燃える子は放っておいてもどんどんやります。ただ、あきらめてしまう子に「諦めないで!頑張るとできるんだよ」と伝えたいのです。子どもに「あの時もう少し頑張っていたら、もっと勉強好きになったのに」という思いを持たせたくない。困ったら見てくれる人がいる、と思わせてあげたいんです。アイテムは自分が好きで始めたことですので、子どもたちには、今ここで育ってもらいたいなと思っていますので、答えは渡していません。

アイテムの使い方で、何かアドバイスをいただけますか?


計算ドリルは表をつくって日付を入れる

I: 使い方は、担任の先生が決めるといいのではないでしょうか。例えば、ドリル以外の問題は自分でしっかり指導しようとか。下の計算ドリルは答えを渡し、子どもに任せているクラスもあります。クラスによって、時間の取り方・使い方は違いますから。全部やると少し重たい問題集だと思います。ドリル以外の問題は追求して見てあげて、チャレンジ問題は本当にできる子にだけやらせるスタイル。「確かめよう」のページまでは個々でやってみて、チャレンジは授業中にみんなでやろう、など。アイテムの進め方は担任が決めて、その学年、クラスに合ったスタイルを作っていけばいいと思います。ただ、解答を渡して子どもに預けっぱなし、というのは勿体ないと思いますね。アイテムの中には、「そこまで難しい問題じゃなくても…」という問題も正直ありますね。

 どんなに難しい問題でも、子どもたちの中には「やらないと気が済まない」という子もいます。紙を折った時に出来る角度を求める問題など、頭の中で考えられないときは実際にやっています。普段から実体験をするようにしておくといいですね。これから学習する「立体」などは、頭の中だけで組み立てることがもっと難しくなります。そういう時は、実際に作るのがいいですね。工作や作業も、抵抗なくやる子どもたちにしたいです。考えてもわからなければ、作る方法もひとつなんだと思える子どもにしたいですね。

今以上にアイテムを使えるようにするためにどんな事をお考えですか?


子どもに寄り添って指導をする池田先生

H: 2年生ですと、一生懸命取り組む子はいますが、それが全員とは言い難いです。クラスに2、3人は苦手意識を持っている子や、どうしても追いつかない子もいます。その子たちへの対応が課題ですね。休み時間も積極的に利用しています。時間を言い訳にするのは良くないのですが、なかなか追いつかないのが現状です。放課後も保護者の方に相談しながらです。習い事との兼ね合いもありますので…。子どもたちには、考える力をつけてほしいので、私はもっと掘り下げて教えていきたいですね。自分から「教えて」と言いに来る子はいいのですけど、来ない子は全く来ないです。到達度が達していない子どもにこれ以上やらせると、算数嫌いになるんじゃないかという恐怖心が最近出てきて…。どうしたらいいのかを考えている途中です。ただ、一冊全部やりきることで子どもに自信も力も付きます。まだ使い始めて少しですけど、使い切りたいなと思っています。使い方は日々勉強ですね。

池田先生はいかがですか?

I: 私は、算数が嫌いになりそうな子ほど「1対1」でつきます。「わかった!」という思いをたくさん感じさせます。好きな子は、それほど手を掛けなくてもやれます。本当に嫌いになりそうだな、重たいと感じているだろうなと思う子を呼んで、一緒にやっています。
今日も3時10分で授業は終わりました。3時半から4時までは、こちらから声を掛けて、教室に残します。私が机について、その子達が机のまわりに座ります。今はもう、自分で椅子を持ってきますね。子どもたちは1対1で教えてもらえるので嫌がらないですね。私はよく子どもたちに「先生は塾に行かなかったよ。学校の先生に勉強教えてもらったら充分理解できるんだから。池田先生に教えて貰うのはお金かからないし、ちゃんと教えるよ」と伝えています。「だから放課後おいで」と言っています。半ば強制的ではありますが、3,4人いつも集まる子がいます。その子たちを中心に、私は周りながら「ここはこうだよ」と指導します。ちょっとした塾のような感じですね。嫌いになりそうな子ほど、逃がしちゃいけないかなと私は思います。

子どもたちは、先生に評価されることはとても嬉しい。評価される評価かされないかで、例えば算数が好きになるか嫌いになるかが決まったりしますよね。


多くの子が放課後もアイテムに挑んでいます

I: はい。これはとても重要なことです。例えば(4年生で)九九がわからない子がいる事に気づきます。でも授業中には手が差し伸べられない。そういう時は「放課後先生のところにおいで」と声をかけます。今の授業にはついて来られない子の場合、無理にその授業に引きずり込まないで、簡単な計算の時だけ促すようにしています。本当はみんな一緒に頑張ってもらいたいのですけどね…。


最後に、これからの先生に伝えて行きたい事、残していきたい部分はありますか?

I: 聞いてくれるに先生には、ですけどね…。先ほどお話しましたが、やはり(算数を)嫌いになりそうな子ほど個々に呼んで「ほら、できるでしょ」「できたね、すごいね」「頑張ったね」という経験を子どもにたくさんさせてあげることです。そうすると「算数っていいな」と子どもが思うようになっていきますね。(国語はあまりいえないのですが、)「算数なら任せて!」と子どもには言っています。こんな風にして、結構子どもたちとコミュニケーションが取れています。


長時間、本当にありがとうございました。


 

>> 子どもに寄り添うことで伸びる学習意欲1
   学校・保護者・地域が、一体になって学習環境をととのえる<学校長編>へ


*この度の取材に快く応じていただきました横須賀市立明浜小学校・小田部忠仁校長、4年担当・池田文子先生、2年担当・羽田智美先生に心より御礼申し上げます。