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  ホーム 学校授業のスパイス 「アイテム」企画特集 連動企画 日本教育新聞 2012/02/06付 連動企画vol.2  

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「アイテム」企画特集 連動企画
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「わかる!」の実感を子どもたちに-田中秀典校長の挑戦-(北海道札幌市立日新小学校)


田中秀典校長[中央]と、土曜算数教室の心強いサポーターである下山弘美教諭[左]と村雲聖治教諭[右]
 2月6日号・日本教育新聞(企画特集)連動取材の第2弾は、札幌市立日新小学校です。日新小学校では学校課題としている学力底上げの一環として、平成23年度より「土曜算数教室」を独自開催し、その中で「アイテム」算数を活用しています。本稿では開設に至るきっかけから、そのねらいや位置づけ等、多岐に亘ったインタビューから、田中校長のお話を中心にまとめさせていただいております。


日本教育新聞企画特集(2012年2月6日付)“「わかる」を届ける土曜算数教室”記事をご参考ください。


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「わかる!」の実感を子どもたちに 〜田中秀典校長の挑戦〜

Chapter1 どの子にも『わかる!』仕組みを 〜土曜算数教室の開設〜

 本当に1時間つらそうに、授業を聞いてるのか聞いてないのか分からない子もいます。そういう子に対しては、TTをつけたからよしとしないで、校長でもできることがあるんだったらしますよということで、昨年同校で「土曜算数教室」開設案内のアドバルーンを上げてみたんです。

 具体的には、学校の勉強もどう学んでいいのか分からないといった子が本当にいるのであれば、『この「アイテム」というのは私の信頼する(筑波大学附属小学校の)先生方が作ったものです。使ってみませんか。』と保護者の方々に聞いてみました。そして、説明をしながら、用紙を配りました。そうしたら、全校児童約600名のうち250名ぐらいが購入を希望しました。私としては、家でやろうが「土曜算数教室」に通おうがどちらでもいいんですけれども、必ず(「アイテム」の)使い方を心得て欲しいと保護者の方々にお願いをしたんです。

 

Chapter2 「アイテム」の共通理解を求めて 〜保護者への説明〜

 この「アイテム」のすごいところは、『学び方』というか『考え方』が書かれているんです。ここの部分が命だと思ってるのですが、いろいろといい仕組みが書いてあって、どう使ってほしいかの「願い」も書かれてるんです。その「願い」を読んでくださる方はよいのですが、読まない方のために、お子さんと一緒に来てくださいとお願いして説明会を開きました。

 説明会には、約100名以上の保護者が参加されました。特に1回目はやり方(「アイテム」の進め方)を説明しますので、そのやり方を守りながらやってくださいませんかと伝えました。要するにただやりっぱなしにするのではなくて、振り返りの機能を強めることと、低学年であれば家庭で十二分にできますから保護者の方がみてやってくださいとお願いしました。本当は、私はこの算数教室に1年生は、参加の必要はないと考えていました。

 

Chapter3 保護者の反応  〜個々への対応を考えて〜

 保護者の方の中には、「土曜算数教室」は本当に校長先生がやろうとしている学力の底上げプランになっているのかという素朴な疑問もあります。算数が苦手だと感じている子には説明も丁寧にし、『こういうところに目をつけてやるんだよ。』っていうことを繰り返し言っています。算数が得意と感じている子については自信を深めるように『君はできるから、ちょっとチェック(単元の確認問題)のところやってみようか。』というふうにして個別対応することが重要です。ただ、「アイテム」の問題には、集団で学ぶ素材としてすごくいいものもいっぱいあるんです。そういう活用の方法がここではできないのが残念です。

 

Chapter4 「土曜算数教室」の位置づけとして 〜教師間の信頼関係〜

 「土曜算数教室」を校内研修的な位置づけにもしたいと思います。校長自らもやっている。学級担任もやっている。その中でうまくいかないことを素直に吐露していく。そういった本音のぶつけ合いを、先生方がしないために、せっかく力のある子どもたちが伸びなかったりしている現状もあります。先生方の人間関係だけ大事にすると、学校の現場ではそういうものをなるべく見せないようにするじゃないですか。そうではなくて、筑波大学附属小学校までいかないにしても、もっと教職員間の信頼関係を強くして、見たくないものもあえて勇気を持って発信することも大切です。自分たちの取り組みを評価し合いながら学び合って、じゃあ本当に学力を底上げするためにどうしたらいいのかということにさらに前向きに取り組んでほしいと思っています。

●サポーターとして 【日新小学校 総務 村雲聖治先生の声】
 最初は、校長1人で(「土曜算数教室」を)やるんだというふうに言い切ったんです。『いや無茶なことやるな。』と思いました。オリエンテーションっていう最初の説明会をやるので、その時だけちょっと手伝ってくれっていうふうに校長に言われて行きました。やっぱり来れば多少ね、力になれるかなと思って来たんです。勉強したいって気持ちをもってやって来る保護者の願いだとか、子どもの姿を見て、まぁなんとか毎週は無理だけどちょっと来られる週に来ようかなと思っています。普段TTとかで入るよりももう少しきめ細やかに見れますし、子どもたちもだんだん力がついてくる。算数教室を手伝うように強制されたことは一度もないんですが、こういう形で私なりの学力底上げに貢献したいなと思ってやっています。学力がなかなか身についていない子どもにとっては、このような個人指導でないと厳しいなという実感があります。

 

Chapter5 授業との連携 〜つまずきの傾向をフィードバック〜

 算数教室に協力いただいている下山(下山弘美先生6年生担任)は、授業を進める中で、子どもたちのつまずきの傾向をちゃんと知っていて、それを必ず授業場面でみんなで共有して進めています。だから、先生のクラスは間違うことが当たり前です。間違えをみんなで補正し合うのも当たり前だし。みんな安心して授業を受けられる。だからどの学級もそうなってほしいんです。でも、多くの先生方は、頭では分かっているんですが、なかなかそういう状況にはならないので、我々で「アイテム」をやっていて掴んだ子どものつまずきの傾向を先生方に提供して授業の中で活用してもらおうと考えています。でも「算数教室」は復習型でやっているので、これが少々弱点なんです。

 

Chapter6 田中校長の決意

 やりだしちゃったのでもう進むしかないじゃないですか。(笑) だから1年間は丸投げしないで自分に責任を持ちます。土曜日午前中つぶれるけども、そこは言い出したんだから。せっかく一人でも二人でも来てくれるなら、その子どもたちのために力を注いだらいいことがあるんじゃないかと。そう思っているんです。

 

  子どもたちのためを考えた意欲的な取り組みながらも、課題はいろいろとあるようです。しかしながら教育は待ったなし。ひとりでも多くの子どもたちに「わかった!」という実感を与えたい。そんな想いを集約した田中校長の「土曜算数教室」の挑戦は続きます。


 

*この度の取材に快く応じていただきました札幌市立日新小学校・田中秀典校長、また「土曜算数教室」サポーターの先生方に心より御礼申し上げます。