5) 「学力を定着させる」ことの難しさ 〜「放課後学習」の意味〜
学校長:
子どもたちに学力を定着させることは難しいですね。それでも「学力を定着させたい」という思いは強くあります。なかなかそれが、ひと筋縄ではいかないことは分かっていますが。これは全国の先生方が日々考え、悩まれていることだと思いますね。が、何とかそこは工夫したいところです。
このアイテムを使うと、少しはいろいろな考え方ができて、頭の中が柔らかくなるのではないかな。あらゆる方向から考える事ができるようになって、ひとまわりでもふたまわりでも大きな頭になるんじゃないかな、という期待をもって取り組んでいます。
N: 通常の授業だけではなかなか定着しない理由はどこにあるとお考えになりますか。
学校長:
原因として考えられる大きな要因は、「復習をしない」という点でしょうね。
O: そうですね。教科書だけでは全く足りないです。教科書の中でも、基本的な練習問題がずっと載っていて、ポンと応用問題が出てくるときがあります。その時に、子どもたちを見ていてギャップを感じているなと思うので、その溝を埋めるための練習も必要だろうなと思います。
O: 「算数」では「放課後学習」を行っています。いっぺんに見ることは難しいので、3年生以上を対象に月単位で4年生、5年生というように区切って、放課後学習で補充したり練習問題をやったり、授業中に終わらなかった課題を行うなどしています。どうしても学年が上がってくると厳しくなるので、担任の先生にもお願いして、協力していただきながらすすめています。
N: 自由参加ですか?
O: 自由参加ではないです。練習問題で正解率が8割に届かない子に対して、「放課後学習をします」と伝え、(会議がない日が中心ですが)日にちを決めて「この日にやりますから参加しましょう」といいます。学習内容は、授業で行った内容と同じような練習プリントを事前に用意します。例えば「小数の割り算」でしたら、割り算の問題を10枚用意して、10枚とも80点以上クリアできたら合格、という基準を設けてすすめています。単元にもよりますが、高学年で全体の3分の1くらいが受けていますね。5,6年生を一緒に指導するのはちょっと厳しいので、ひと月を2学年で割って、交互に補習(放課後学習)を行うときもあります。
学校長:
「放課後学習」を受けている人数は多いですね。「算数」は「国語」と並んで保護者も大変関心のある教科ですから、力をつけてあげないといけません。保護者の方は、自分の子に対して、「本当に分かっているのかな」という不安があります。それはお子さんに対して「分かっていてほしい」との期待であり、すなわち学校に対しての期待でもあると思っています。保護者の方に、私たちの取り組みを少しでも理解をしてもらう努力を、学校側はしなくてはいけないと感じています。それを「算数」では、岡田先生を中心に行っているわけですね。
O: ここで躓いたら、次の学年でもっと分からなくなってしまうだろうと思って、私たちも一生懸命にやっています。算数は全て繋がっていますので。
学校長:
「算数」は、ある程度問題が解けてできるようにならないと、子どもは嫌になって放り投げてしまいます。そうなると、もう面白くなってしまいますよね。ひとつ躓いているところをそのままにしておくと、どこかでまたその躓いている部分が出てきます。そうしますと「わからない、わからない」の雪だるま式になる。そこを防ぎたいなと思います。
学校長:
全ての教科を学級担任が見られるという点は、小学校の強みでもあると思います。中学校のように教科担任制になってしまうと、一度立てた学習計画を途中で変更するということは至難の業になります。授業の調整が難しくなりますからね。それだけ小学生には丁寧な対応ができる(可能性がある)ということでしょうか。カリキュラム上柔軟性を持たすことができるよさはあると思います。
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