ノート指導の工夫
N: ノート指導について工夫されている点はありますか?
齊藤: ノートの取り方を拝見すると、論理的に順序立てて説明をしていく書き方がかなり出来て上がっているように感じますが。
H: 4,5,6年で共通して行っているノート指導がありましたが、本研究が始まって3年目に、全学年で少しずつ取り組んでいこうということになりました。まず、4,5,6年の算数では、このようなノートの取り方を指導しています、ということを他の学年の先生に紹介したんです。1年生など学年によっては出来ない部分がまだあるので、そのあたりは学年で工夫してもらっています。日付を書く、といった基礎的な部分から、「問題と課題を書く」、「自分の見通しを持つ」、「振り返り」はこのようにおこなったらいいですよ、といった簡単なモデルケースを作って各学年に提案をさせて貰ったといのが今年の試みです。本当は全学年で通せたらいいのですが、一気にそこまで通すのは難しいので、どの程度までやるかは学年にお任せしています。でも、ノートを取るときはこういう感じ、というイメージが学校全体で共有できれば、それが積み重なって繋がってくるかな、と思います。算数科で提案したものを国語科も取り入れたいという事になって、今年度国語科の方も動き出しています。
ひと学年5クラスもしくは4クラスあるので、各学年でまず統一した指導方法が行えるように、学年の中で話し合いをしてもらっています。
H: 昨年1年間で徹底して行ったのは、「まず〜」「次に〜」「そして〜」「だから〜」という書き方、説明の仕方をするということです。その結果、「これについて説明をしなさい」と私たちが問うと、今年は何も言わなくても「まず〜」「次に〜」「そして〜」「だから〜」と子どもたちは書きますね。とにかく「まず」「次に」「そして」「だから」が出ます。そこから脱却して欲しいという思いもあるのですが、なかなか脱却しなくて。このやり方は、今の4年生も引き継いでくださっています。
S: 今の5年生のノートを見て、論理的な文章が書けるようになっているなと感じたので、「まず」「次に」「そして」「だから」をキーワードとして、今年の4年生にも実践しています。でも最初は、なかなかこのキーワードを順番に使って文章が書けない子もいます。そういう子には番号を付けて文章を書くことを薦めています。4年生には「まず」という言葉を使えない子もいるので、そういう時は、1番目に自分はこう考えた、2番目にこう考えた、というように数字を使い、考えた事を(箇条書きにして)書くようにしています。子どもが考えた順序と、思考を大事にしたいなと思ってやってみています。
N: PISA型学力を推し進められていく中で、算数以外の教科への影響は出ていますか。
H: ありますね。国語の授業、特に説明文の時などは時系列を追って文章を書くことができているかを見ます。このあたりは国語と算数、両教科で勧めているメリットですね。算数科で「これはどうかな」と提案すると、国語科では「こうだ」というように繋がります。順序立てて物事を考えることや、必要な情報を取り出すことは社会科や理科でも同じですよね。国語、算数でやっていることは、どの教科にも繋がってくると思っています。実際の成果として出ているか、というところまでは分からないですが。きちんと検証した事はないので。
学校長:
単元指導の強弱は、実際子どもに力がついていることが実証されているので大丈夫なんだと確信はしていますし、先生方を信じている点があります。本校は4,5,6年に対し、算数科で少人数・習熟度別指導が出来るように、先生が3人加配されている点が大きいです。単なる少人数指導に留まらず、算数科で対象学年・全クラスの問題や単元表を作ったりしてくれる。そういうポジションに立って算数指導を進めてくれる先生がいる、そういう体制が取れるという点で貢献度が非常に高いなと思います。何しろ専科の先生が教えているわけですから。それは本校の子どもの学力向上に対する意気込みでもありますけどね。実際に結果が出ていますから。結果についての詳しい内容は、11月26日の学習研究会で発表する予定です。
文部科学省の全国学力テストは、基本的に他校と比べることが目的でされるテストではないです。ですから、全国平均から見て本校はどうかという比較になりますね。テストの結果については先ほどお伝えしたとおりです。全国平均に比べて、本校はB問題の結果が7から10ポイント高いという点に表れていると思っています。地域性を考えた場合、決してこの地域が経済的にも家庭的にも突出して恵まれているという訳ではありません。中には塾に通っているような子どももいますけど、それ程多くの子どもが通っているというわけではありません。学校と家庭とで、両方の指導がよくマッチしていると思います。学校だけで全てがうまく進められるということではありません。宿題をしっかり家庭でやってもらうという事は大切ですから。家庭学習状況調査の結果から見ても、全国平均に比べて月曜日から金曜日までの家庭学習の時間というのは、本校は多いです。(読書の時間は何故か少ないのです。何でか分かりませんが。)中学に入ってから、小学校での積み上げの成果はあると思いますよ。
H: 11月の研究発表会でお伝えしようと思っている資料のひとつですが、子どもたちのアンケートで「算数の解き方が分からないときは、あきらめずにいろいろな方法を考えようとしていますか」という質問に対して、「はい」という解答がとても多かったんです。特に高学年でも「はい」と答える子が多かった。これについては凄いな、と私たちも思います。算数については、子どもたちの中に確実に積み重なってきているんだな、と実感して嬉しく思いました。
齊藤: ぜひ、研究会では長野小学校の授業を拝見させて頂きたいですね。
学校長: どうぞどうぞ、実際に見ていただくのが一番分かりやすいと思います。
齊藤: 授業が拝見できます事を楽しみにしております。
N: 本日は本当にありがとうございました。
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