特定非営利活動法人 次世代教育推進機構
サイトマップ アイコン → サイトマップ

  ホーム 漢字のとびら 活用校の声 日本教育新聞 連動企画 vol.2  

MENU  
漢字のとびら 活用校の声

資料…漢字学習の流れ

漢字学習の流れ1

@先生が新出漢字を黒板に書きだし、それぞれ子どもに割り当てます。

漢字学習の流れ2

A子どもは割り当てられた漢字を使い、ノートに例文を作成します。

漢字学習の流れ3

B作成した例文を子どもたちが黒板に書きます。

漢字学習の流れ4

C先生と子どもが一文一文確認し合いながら、クラス全体で例文を共有します。


PDFファイルを表示するために必要です。→「Adobe Acrobat Reader」のサイトへ  
PDFファイルをご覧いただけない場合
は、上記からAcrobat Readerをダウン
ロードください。
 

2018年1月 日本教育新聞 企画特集 連動取材 自ら言葉に向き合う漢字学習(滋賀県高島市立 マキノ西小学校)

高島市立マキノ西小学校では、今年度より「漢字のとびら」を全校で導入いただいています。漢字や言語事項の学習において、新学習指導要領の「主体的・対話的・深い学び」は、どのように形作られていくのか。子どもが自ら進んで学習し、対話的な学びを進めていく様子を授業の中で見せていただき、中川校長先生と教務主任の饗庭(あいば)先生にお話を伺います。

日本教育新聞「企画特集」と併せてご覧ください。
  *日本教育新聞「企画特集」2018年1月22日PDF



■自ら言葉に向きあう学習

 

ー 近年「国語」に力を入れられているとお聞きしました。その背景や取り組みに関して、詳しくお話いただけますか。

中川校長: 本校は児童数も少ない小規模な学校です。子どもたちは幼少期からずっと同じメンバーで、クラス替えもありません。お互い気心が知れた仲と言いますか、言葉がなくても通じ合えるような部分もあるのかもしれません。しかしながら、そういうなかでこそ、しっかりとした言葉で表現でき、意思疎通ができる力を培っていかなければいけません。

饗庭(あいば)先生: 最近、「考えること」や、「知識を活用すること」、「みんなで意見出し合う」といった活動が非常に盛んになっていますね。漢字の学習は、そういうものと対極にあるイメージで捉えられがちですが、これからの学習ということでは、漢字学習においても、子ども自ら「考えること」がとても重要です。 漢字はある意味パズルみたいなものです。この字はどういう仕組みになっていて、右半分だけだと何と読むか、この字とこの字を合わせたら、この字になるといったように。組み合わせから、意味も読み方も大方推測することができます。ですから、仕組みをよく考え、意識させながら漢字学習を進めています。子どもたちもその様に習った漢字だと、どういうときに使うのか興味津々になります。「この漢字、習った熟語では出てこなかったけど、今度こんな文章の中に出てきたよ」とか、珍しい漢字を一字習った時に「その字はこのときにも使う?」「そのときはどういう字書くの?」と子ども自らが漢字を深く知りたくなります。仮に当該学年で習わない漢字が出てきた場合でも、「これは何年生でないと習わないけど特別に教えてあげる。またひとつ賢くなるよ」と言って教えると、「分かった、書ける」と言ってまた漢字に向き、自分の気持ちが自分の言葉に向いていきます。
 もちろん子どもの学力の個人差は大きく、普段のテストの成績がすぐ上がるというわけではないですが、国語の学習のなかでも漢字や言語事項は、どの子どもにも身に付けてほしいと思っています。早い段階からそれらに触れることで、例えば「そういえば小学校のときに覚えたな」とか、中学校に行ってから「これだけは覚えてるよ」と、子どもの自信につながるものだと思っています。

■漢字を見る目を養う

 

饗庭先生饗庭先生: 書き順の指導では、「ここ気を付けて。ここは出て、ここは出ない」、「はねる、はねない」と筆順で追いながら見ていきます。また、支援の必要な子には、書き順をまずイメージとして捉えさせたりもします。「漢字のとびら」にはこれらの注意点と気を付けるポイントが丁寧に示されているところが良いです。新出漢字の練習欄は、箱を四つに区切る通常のレイアウトより、さらに細かな色分けと大きさがあります。少しだけ冠のほうが小さいとか、へんのほうが小さいといったように、特に上と下に分かれる漢字のバランスは、下が入りきらなかったりと、子どもたちすごく苦手なところです。子どもが全体のバランスを見ながら漢字の形を捉えることができるというのは、これまでにない学習のポイントでした。漢字学習にとどまらず、習字でも、へんとつくりで書くときや、冠と足で書くとき、字全体のバランスが重要になります。きれいな漢字が書けるということは、大人になっても必要な力ですね。
 「書き名人」「書き順名人」などのクイズ的な問題では、「これ合ってるよ」、「ええ、なんで丸なの?違ってるよ」、「どこが違う?」、「ここ出てるじゃん」と、子どもたちが進んで間違いを正していきます。自分が見落としている所を指摘されて、次は間違えずに書こうと意識し、また、ちゃんと身に付いたかどうか、子どもたち自ら苦にせずに確かめられます。使い始めの頃は「『漢字のとびら』には例文が載っていないから、宿題として出しづらい」という意見も教員から出ました。しかし、日々の漢字学習を振り返ってみると、例えば「詩」という漢字を学習したときに、その漢字がどんなときに使えるか、「詩人」や「詩を書く」と子どもに二つ三つ言わせておけば、子どもも自分で例文を作ることが出来ます。最初はノートに「詩」と一字繰り返し練習して、次に「詩を書く」や「詩を読む」など、自分で考えた文を書きます。自分でうまく例文が作れなくても、国語辞典に例文が載っていますので、それをまずは書き写して、「こういうふうに使うのか」というのが分かればより知識が広がっていきます。

■協働的に学びに向かう

 

饗庭先生: 子どもが、「単に覚えなきゃならない」と嫌々練習するのではなく、文章を作ることを楽しみながら漢字の学習ができるというのがポイントです。従来の漢字ドリルにあった、出来あいの例文を使った漢字学習では覚えられなかったかもしれない漢字が、友達が作った例文で学習することで、意外と覚え易くなったのではないかと思います。「この漢字の文章は○○さんが言ったやつや」とか、漢字テストに出たときも「これはどう書くんやったかな、○○君が書いていた字やな」とか言いながら。さらに、そのように試行錯誤していると、読み替えで訓読みも出てきます。特に高学年は、音読みも訓読みも両方例文で使えるようにしておけば、次に出てくるときにもう一度、一から覚え直す必要がないですしね。

ー 子どもそれぞれの考え方の違いがあって、面白い例文も出てくるのでしょうね。色々な言葉を知っていると、文章を作る時に子どもが様々な切り口で、いろんな考えや言葉を使えるというのがすごくいいですね。

饗庭先生: 子どもによって使っている辞書がまちまちで、漢字辞典を使っている子もいれば国語辞典を使っている子もいます。調べるときのタイミングや、部首から調べる子もいれば総画で調べる子もいて、それぞれ得意技みたいなものがあります。隣の子の辞典を開いていたときもありまして、意外にそれぞれ違うやり方をしてみるというのが面白いなと思います。先程の久保田先生のクラスでは、途中で複合文というのが出てきていましたよね。「今日の新出漢字をどれでも良いから2個以上使って例文を作りなさい」という題を出すと、子どもが漢字を組み合わせ、新しい熟語を見つけたりしていました。
 少人数学級なので、漢字学習に限らず、いつも子どもが発問したり、互いに尋ね合ったりというのが盛んな授業です。友達の意見をみんな聞いていますので、「同じです」という反応だけでなく、そこから「それはなんで?」ともう少し突っ込める子や、「自分はこう思ってるんだけど、それって同じかな?」という問いかけが出てきます。先生からは「同じ考えでもあなたの言葉で聞きたいな」と指名をしたりもしますが、なかなか堂々と発言できない子どももいます。ですから、順番が来た時にちゃんと発言できるように他の子どもが助けてあげる場面もあります。そうやって子どもたちそれぞれが関わりあいながら、クラスを作っている感じですね。

■中学校まで見据えて

 

中川校長: 言葉や漢字の理解力が小学校である程度ついてないと、教科に関わらず、中学校での学習のハードルが上がってしまうところがあります。私は中学校でずっと理科を教えていました。例えば、「飽和」という用語が出てきたとき、「飽」という漢字はどういう意味なのか。「お腹いっぱいですよ」という意味が分かっていたら、「飽和」という用語の説明がしやすくなります。漢字の部首からでも、例えば、身体に関する表現や用語であれば、「にくづき」で書くだろう、と教科の学習内容の理解に比較的容易に入っていけます。漢字学習が担っているのはそこですよね。国語はやはりあらゆる教科と活動の基盤となる日本語の力なので、学校としても先生方としても力が入るところですし、子どもに身につけさせたい力という願いも、大きいのだと思います。