特定非営利活動法人 次世代教育推進機構
サイトマップ アイコン → サイトマップ

  ホーム i*tem i*tem通信 小浜市立遠敷小学校 - 子ども主体の学校をめざして 前編

MENU  
item通信



小浜市

資料:小浜市立遠敷小学校 グランドデザイン

平成28年度小浜市立遠敷小学校スクールプラン

資料:平成28年度小浜市立遠敷小学校スクールプラン

平成28年度小浜市立遠敷小学校スクールプラン

資料:平成28年度学校経営計画

平成28年度学校経営計画

PDFファイルを表示するために必要です。→「Adobe Acrobat Reader」のサイトへ
PDFファイルをご覧いただけない
場合は、上記からAcrobat Reader
をダウンロードください。
小浜市立遠敷小学校 - 子ども主体の学校をめざして

窪田光宏校長先生(左)と算数主任の泉浩先生 今回は、福井県の小浜市立遠敷小学校(学校長 窪田光宏先生)を取材。同校での取り組み(子どもたち主体の学校づくり)と、そこに息づくアイテムの活用方法について、窪田校長先生、算数主任の泉浩先生にお聞きしました。実際にアイテムを題材とした6年生の授業も拝見。アクティブラーニンを実践するにあたっての多くの示唆をいただきました。
 
      聞き手:次世代教育推進機構 齋藤宏子

前編 子ども主体の学校をつくる後編を読む

まず最初に、学校の経営方針をお聞かせください。

窪田光宏校長先生窪田校長− 本校は平成24〜25年度の2年間、小浜市の授業力アップ研究指定を受け、また、平成26〜27年度の2年間は、福井県のコア・ティーチャー養成事業(算数科活用力向上)の研究指定校として、子どもが自ら学んでいく授業づくりに取り組んできました。
   一方、本校はあと2年余りで閉校を迎えます。平成31年度には、市内の4小学校が統合して新しく小浜美郷小学校が開校します。遠敷小学校から小浜美郷小学校へのバトンを、子どもの姿として責任を持ってつないでいけるよう、これまでの研究の成果も踏まえてスクールプランを策定し、学校経営を進めています。

 学校経営ビジョンであるスクールプランは、校長が一方的に策定して提示するものではないと思っています。昨年度の12月から今年度のスクールプランづくりに着手したのですが、全員の参画によるスクールプランづくりを進めました。
 まず、教職員が学校教育目標 「未来への扉をひらく心豊かな遠敷の子」 の実現に向けて思いや願いを十分に語り合うところから始め、具体的にどのような子どもの姿で新しい学校にバトンを渡すのかを共有して、「学校経営目標」(3年後のめざす子どもの姿)を明らかにしました。それが

学校経営目標(3年後のめざす子どもの姿)

です。特に、「夢と目標を持つ」ことは、子どもたちが自ら学んでいく基盤になるものと考え、重視しています。
 学校経営目標で描いためざす子どもの姿と現実の子どもの姿には、当然ギャップがあります。そこで、次に、学校内外部の環境分析(SWOT分析)のワークショップを行い、3年間の重点戦略を明確にしました。目標を達成していくためには、課題克服のための戦略をはっきりと描く必要があります。そうでないと、その後に続く戦術も不十分なものになってしまいます。SWOT分析をもとに描いた重点戦略は次の通りです。

3年間の重点戦略)

人権教育を中核に、学校教育全体のユニバーサルデザイン化 学力は「頭」を鍛えるだけでは伸びないと思っています。「頭」と「心」と「体」。この3つを学校経営全体の中でいかに有機的に結び付け、リンクさせていくかということが重要です。そのために、本校は体験活動と言語活動をとても重視しています。「体験」と「言語」の往復の中で、教科・総合・道徳・特別活動を有効にクロスさせ、総合的に取り組んでいくことで初めて学力はアップすると捉えています。

 重点戦略をより具体的に示したものが、「強みを生かす戦略」と「弱みを克服する戦略」です。「強みを生かす戦略」の一つは、本校には、地域の豊かな自然や歴史文化遺産に加え、学校の教育活動を力強く応援してくださる地域の方や保護者の方がたくさんおられます。このような外部環境の強みをより積極的に生かしたダイナミックな教育活動を開発していくことです。もう一つは、本校では子ども主体の授業づくり、学校づくりに力を入れ、それがここ1〜2年着実に軌道に乗ってきています。これを、さらに前進させ拡大していこうとする取り組みです。例えば学校行事です。児童会を中心に、企画から運営までを子どもが考えて実行に移し、教師はサポートに徹する取り組みをどんどん拡げています。

 子どもたちが自分たちで創り上げていく過程では、必ず問題解決場面が生じます。授業の中だけに問題解決場面をつくるのではなく、学校教育活動全体の中で意図的につくり出して問題解決に向かわせる。だから、本校では児童会活動を非常に重視しています。学校生活の中で生じるいろんなトラブルもできるだけ児童会の問題として取り上げています。児童集会では、低学年の子も結構辛辣な意見を高学年の子に言いますし、その中で、建設的な意見はやはりみんなに認められ、解決方策として採択されていきます。子どもは、そのような場を与えられると、どうしたらよいかを一生懸命考え判断し表現します。同時に、自覚も生まれます。それらを教科学習の中でも生かしていく。このようにつながっていくことで、子どもの思考力・判断力・表現力は伸びていくのではないかと考え、取り組んでいます。

 一方、「弱みを克服する戦略」は、人権教育とキャリア教育の推進です。子どもたちが、学びを人生や社会にどう生かしていけるかは、「心」がどれだけ育っているかにかかっていると私は思っています。その点、本校児童の実態を見ていると、優しい心を培い、強い心を鍛えていく教育活動はもっともっと進めていく必要があります。その中心に人権教育とキャリア教育の推進を置いたのです。

 これらの戦略をどう戦術化していくかを考えるにあたっては、「子どもを育てる糸」というものを大切にしています。糸は3つあります。縦糸と横糸と斜糸です。縦糸は教師と子どもでつくる「居場所づくり」の糸。横糸と斜糸は子どもどうしがつないでいく「絆づくり」の糸。横糸は同学年、斜糸は異学年でつなぐ糸です。この3つの糸をカリキュラムとしてどのように織りなしていくか。学校のカリキュラムマネジメントが問われるところだと思っています。

 戦略を描くところまでを、ワークショップを中心に職員全員の協同作業で行って共通理解が図れたら、そのあとの戦術については、プロジェクトチームに一定の権限を持たせてその立案を委ねました。プロジェクトチームのメンバーとしては、教務主任を中心に中堅・若手教員が4名立候補してくれました。プロジェクトチームから出された戦術案は学校全体で討議しますが、一部修正を加えながら最終的に全部通りました。それが今年度のスクールプランの「具体的方策」になっています。
 たとえば、先ほどの「弱みを克服する戦略」をプロジェクトチームがどう戦術化したかについて少しお話しします。今年度から、毎月人権講演会とキャリア講演会を交互に実施することを企画し、小浜市内だけでなく、県内や全国からゲストティーチャーを呼んで全校授業を行っています。
 いろんな方からお話を聞くというのは、子どもにとっては大きな出会いになります。助産師さんによる生と死のお話、逆境に負けずに逞しく生きている方のお話、ふるさと遠敷で生きる喜びと誇りを実感できるお話などなど。お話を聞きながら、子どもたちは今と将来を結びつけながら自分の生き方を考えます。自分は何のために学ぶのか。今、自分がここで勉強している意味を自分の生き方と結びつけられる子というのは非常に強いと思います。単に心を耕す、豊かにするだけではなく、頭と心と体がバランス良く結びついてくる。心は心、頭は頭、体は体と、離れ離れになっていたのでは意味がありません。学校で何かに取り組むとき、マネジメントを考える上で一番大事にしているところです。私も先生方にお願いして、月に2回、低学年・高学年別に校長による道徳授業をしています。自分で言うのも何ですが、子どもたちからは好評価をもらっています。

校長先生のお話を伺っていますと、求めている内容が中学生レベルのような感じがしますが…

校長− 中学校と同じことを小学校で実施するわけではありません。子どもの発達段階に沿って、ねらい・内容・方法が当然変わります。でも、子どもの力というのは本当にすごいと思います。教師は、子どもの潜在能力をどう引き出し、伸ばしていくかが一番大事だと思っています。

校長先生のマネジメントがあって、というところがありますね。

校長− 私自身は、そんな大したことはしていません。先生方が頑張っていろんなアイデアを出してくれるので本当に助かります。校長としては、まずやらせてみる。でも、その中でとことん考えさせる。子どもを育てるのと共通する部分だと思っています。

item算数について

アイテムプラス窪田校長− 子どもの主体的な学習活動を授業の中で保障していくためには、指導内容や指導方法のパラダイムシフトと併せて、評価のパラダイムシフトがとても大切だと考えています。例えば、思考力、活用力を育てていこうと考えたとき、それらの力がどのくらい育っているのかを見取る力が必要です。評価しながら、さらに次の指導に生かす。授業を通してPDCAサイクルを稼働させていくわけですが、その評価方法として何を用いるかは重要です。その点Itemなら、思考力や活用力を見取れる問題が質・量ともに充実しています。日々の授業に活用するだけでなく、評価にも使える。そこで、研究主任であった泉先生と相談し、昨年度からItemを導入しました。Itemの授業における活用方法を中心に、家庭学習での効果的な使い方についても工夫してきました。ダウンロードして活用できるアイテムプラスは、主に単元の評価テストとして使っています。Item算数やアイテムプラスと出会い、指導と評価のパラダイムシフトが少しずつ進みつつあると感じています。

Item算数はあくまで素材の一つにすぎませんから…。授業でどう扱うかは学校や先生によって異なります。

校長− まずは、ドリルも問題集も端から端まで全部やらないといけないという固定観念からの脱却がポイントです。使いたい問題だけ使ったらいいのです。取り組むことが苦痛だと子どもに思わせたら本末転倒です。アクティブラーニングでは、指導と評価の一体化が一層重要になると思います。しかし指導に比べて、評価の研究がまだまだ弱いように思います。何をどう評価をして良いのか、評価規準が難しいのだと思います。
 であれば、外部のものを活用しようと考えた時、Item算数がちょうど良かったのです。もちろんItem算数だけで評価をするわけではありません。子どものポートフォリオであったり、1時間ごとの振り返りであったり。 授業の「振り返り」は、単なる感想ではなく、この1時間で何をどのように学び、できるようになったのか。何がわかったのか。学んだ過程を書ける、表現できる力をつける。そこまでやって最終的に学力が向上していくと思っています。

学校の中で、しっかりとした評価の軸を持つことが大切なんですね。

後編を読む